私はインプラント治療に関する講師を務めており、若手の歯科医師にノウハウを指導しています。
多くの症例を手掛け、他院で治療された患者さんの口腔内を拝見する機会も多くあります。その経験から、インプラント治療の「成功」と「失敗」にはいくつもの条件があることを患者さんに知っていただきたいと思います。
インプラント治療における成功と失敗
Success and failure
Success and failure
私はインプラント治療に関する講師を務めており、若手の歯科医師にノウハウを指導しています。
多くの症例を手掛け、他院で治療された患者さんの口腔内を拝見する機会も多くあります。その経験から、インプラント治療の「成功」と「失敗」にはいくつもの条件があることを患者さんに知っていただきたいと思います。
X線写真でインプラント体に結合した骨が確認できる
上部構造(被せ物)が歯肉と調和している
噛み合わせが良好で、インプラントに不適切な咬合力(噛む力)がかからない
X線写真で、インプラント体周囲の骨が溶けていることがわかる
(赤色が理想的な骨のラインで、黄色が今の状態です)
インプラントの上部構造が歯肉と調和しておらず、
本来であれば歯肉に覆われていないといけないインプラント体が露出している
かみ合わせが悪く、インプラントや上部構造が壊れるリスクが高い
インプラント治療を成功させるには、いくつか抑えておかなければいけないポイントがあります。以下にまとめましたので、ぜひご一読いただき、皆様の歯科医院選びの一助になれば幸いです。
インプラント治療において、かみ合わせや被せ物の形態を優先的に考えることが重要です。歯が抜けた理由がかみ合わせの問題である場合、かみ合わせをどのように改善するかを考えなければなりません。
そして、被せ物の形態を事前にシミュレーションし、インプラントの設置位置を逆算して決定します。したがって、インプラント治療において、歯科医師は、かみ合わせや被せ物のコンセプトを深く理解している必要があります。
⇧事前に上部構造(被せ物)の形態をシミュレーションしている様子
近年、インプラントの手術自体は確立し、インプラントメーカーなどの開発により、インプラント治療における術者の難易度は下がってきました。そこで、①で述べたようにいかに被せ物の診断を行い、いかに診断通りにインプラントを設置するか、ということが大切になってきます。診断通りに位置にインプラントを設置するためには、サージカルガイドかナビゲーションシステムの利用が必要です。仮にフリーハンドの場合はインプラントの設置位置は平均10°もズレると報告があります1-5)。しかし残念ながら、サージカルガイドやナビゲーションシステムを利用していない歯科医院も多いという現状がありますので、そのような設備が完備されているかが歯科医院選びには重要だと思います。
⇧当院で以前使用していたサージカルガイド。
金属の筒のところで手術の時にドリルがブレないようにコントロールできます。
⇧当院で使用しているナビゲーションシステムはさらに精度が高く、患者さんの負担も減らすことができます。
インプラントは大きく分けて、インプラント体と上部構造の二つに分かれています。どうしても体の中に入るインプラント体に目が行きがちですが、上部構造もかなり重要です。上部構造でよく用いられる材料として、チタン、金銀パラジウム合金、ポーセレン、ジルコニア、二けい酸リチウムなどです。これらの材料の選択により、上部構造が体に馴染まず、失敗してしまうこともあります。グランツ歯科では文献のエビデンスを基に、チタンベースとジルコニアを主に使用した上部構造を製作しております。笑った時に目立つところには陶材を使用し、少しでも自然に見えるように配慮します。
⇧当院で製作したインプラントの上部構造。ジルコニアとチタンを使用した上部構造は体に優しいと言えます。