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インプラント治療における成功と失敗

Success and failure

インプラント治療における成功と失敗

私はインプラント治療に関する講師を務めており、若手の歯科医師にノウハウを指導しています。
多くの症例を手掛け、他院で治療された患者さんの口腔内を拝見する機会も多くあります。その経験から、インプラント治療の「成功」と「失敗」にはいくつもの条件があることを患者さんに知っていただきたいと思います。

インプラント治療の成功と失敗

インプラント治療の成功

  1. X線写真でインプラント体に結合した骨が確認できる

    成功1
  2. 上部構造(被せ物)が歯肉と調和している

    成功2
  3. 噛み合わせが良好で、インプラントに不適切な咬合力(噛む力)がかからない

    成功3
    ⇧上の歯全てと下の奥歯はインプラント

インプラント治療の失敗

  1. X線写真で、インプラント体周囲の骨が溶けていることがわかる
    (赤色が理想的な骨のラインで、黄色が今の状態です)

    失敗1
  2. インプラントの上部構造が歯肉と調和しておらず、
    本来であれば歯肉に覆われていないといけないインプラント体が露出している

    失敗2
  3. かみ合わせが悪く、インプラントや上部構造が壊れるリスクが高い

    失敗3

インプラント成功のための条件

インプラント治療を成功させるには、いくつか抑えておかなければいけないポイントがあります。以下にまとめましたので、ぜひご一読いただき、皆様の歯科医院選びの一助になれば幸いです。

1.かみ合わせや被せ物の形を優先に考える

インプラント治療において、かみ合わせや被せ物の形態を優先的に考えることが重要です。歯が抜けた理由がかみ合わせの問題である場合、かみ合わせをどのように改善するかを考えなければなりません。
そして、被せ物の形態を事前にシミュレーションし、インプラントの設置位置を逆算して決定します。したがって、インプラント治療において、歯科医師は、かみ合わせや被せ物のコンセプトを深く理解している必要があります。

インプラント成功のための条件
⇧事前に上部構造(被せ物)の形態をシミュレーションしている様子

2.サージカルガイドやナビゲーションシステムを利用する

近年、インプラントの手術自体は確立し、インプラントメーカーなどの開発により、インプラント治療における術者の難易度は下がってきました。そこで、①で述べたようにいかに被せ物の診断を行い、いかに診断通りにインプラントを設置するか、ということが大切になってきます。診断通りに位置にインプラントを設置するためには、サージカルガイドナビゲーションシステムの利用が必要です。仮にフリーハンドの場合はインプラントの設置位置は平均10°もズレると報告があります1-5)。しかし残念ながら、サージカルガイドやナビゲーションシステムを利用していない歯科医院も多いという現状がありますので、そのような設備が完備されているかが歯科医院選びには重要だと思います。

インプラント成功のための条件
⇧当院で以前使用していたサージカルガイド。
金属の筒のところで手術の時にドリルがブレないようにコントロールできます。

インプラント成功のための条件
⇧当院で使用しているナビゲーションシステムはさらに精度が高く、患者さんの負担も減らすことができます。

3.体に優しい上部構造

インプラントは大きく分けて、インプラント体と上部構造の二つに分かれています。どうしても体の中に入るインプラント体に目が行きがちですが、上部構造もかなり重要です。上部構造でよく用いられる材料として、チタン、金銀パラジウム合金、ポーセレン、ジルコニア、二けい酸リチウムなどです。これらの材料の選択により、上部構造が体に馴染まず、失敗してしまうこともあります。グランツ歯科では文献のエビデンスを基に、チタンベースとジルコニアを主に使用した上部構造を製作しております。笑った時に目立つところには陶材を使用し、少しでも自然に見えるように配慮します。

インプラント成功のための条件
⇧当院で製作したインプラントの上部構造。ジルコニアとチタンを使用した上部構造は体に優しいと言えます。

参考文献

  • 1)Emery RW, Merritt SA, Lank K, Gibbs, JD. Accuracy of Dynamic Navigation for Dental Implant Placement - Model Based Evaluation. J Oral Implantol 2016 Jun 6.
  • 2)Brief J, Edinger D, Hassfeld S, & Eggers G. Accuracy of image-guided implantology. Clin. Oral Implants Res. 16:495–501, 2005).
  • 3)R. S. Hoffmann J, Westendorff C, Gomez-Roman G, Accuracy of navigation-guided socket drilling before implant installation compared to the conventional free-hand method in a synthetic edentulous lower jaw model. Clinical Oral Implant Research, vol. 16, pp. 609–614, 2005.
  • 4)Nickenig, H, Wichman, M, Hame, J, Schlegel, K, Eitner, S, Evaluation of the difference in accuracy between implant placement by virtual planning data and surgical guide templates versus the conventional free-hand method – a combined in vivo – in vitro technique using cone-beam CT (Part II). J of Cranio-Maxillo-Facial Surgery, 2010;38,488-493.
  • 5)Tahmaseb A, Wismeijer D, Coucke W, Derksen W. Computer Technology Application in Surgical Implant Dentistry: A Systemic Review. Int J Oral Maxillofac Implants 2014; 29 (SUPPL):25-42.