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「矯正をするなら健康な歯を4本抜くと言われた」「歯を抜かない矯正もあるのに、本当に必要なのだろうか」。歯並びを整えたい気持ちがあっても、痛くない歯を抜くと聞けば、迷いや怖さを感じるのは当然です。インターネットで調べるほど、「抜歯すると口元が下がりすぎる」「非抜歯では出っ歯になる」と正反対の情報が目に入り、何を信じればよいか分からなくなる方もいるでしょう。
矯正治療で抜歯が必要かどうかは、歯の重なりだけを見て決めるものではありません。歯を並べるために必要なスペース、前歯の傾き、上下の顎の骨格、唇を自然に閉じられるか、歯ぐきと骨の厚み、奥歯の噛み合わせ、患者さんが改善したい点を一緒に評価します。抜歯にも非抜歯にも利点と限界があり、同じ見た目の歯並びでも、適切な方針は人によって異なります。
日本矯正歯科学会は、矯正前の検査として問診、口腔内診査、各種レントゲン、顔貌・口腔内写真、歯型などを挙げ、治療のための抜歯は本人の同意を得て行うもので、納得できるまで主治医に尋ねることが大切だと案内しています[1]。この記事では、抜歯か非抜歯かを二者択一の好みで決めず、診断資料をもとに比較するための考え方を解説します。
抜歯か非抜歯かは「歯を残せるか」だけで決まらない
矯正で歯を抜く主な目的は、歯を動かす場所をつくること
永久歯が並ぶための顎のスペースより歯の幅の合計が大きいと、歯は重なったり、前方へ傾いたりします。矯正では、歯を並べる場所を確保したうえで、前歯と奥歯をどこへ移動させるかを計画します。必要なスペースが大きい場合、その一つの方法が小臼歯などの抜歯です。抜歯で生じた空間は、そのまま隙間として残すのではなく、周囲の歯を計画的に動かすために使います。
一方、スペース不足が比較的小さい場合は、歯列の幅を適切な範囲で整える、奥歯を後方へ動かす、歯と歯の間をわずかに整える、前歯の傾きを調整するといった方法で、抜歯を避けられることがあります。ただし、これらを組み合わせれば誰でも非抜歯にできるわけではありません。歯が骨の支えから外れるほど無理に広げたり、前歯を過度に前へ傾けたりすると、歯ぐき下がりや口元の突出、噛み合わせの不安定さにつながる可能性があります。
「抜く本数」より、どの歯を何のために動かすかが重要
矯正目的の抜歯では、前歯と奥歯の間にある小臼歯が候補になることがありますが、虫歯や大きな詰め物、歯根の状態、左右差、すでに失っている歯などによって選択は変わります。上下左右を同じ本数だけ抜くとは限りません。大切なのは、抜歯する歯の名称だけでなく、できた空間のうち何ミリを前歯の移動に使い、何ミリを奥歯の移動に使うのか、その結果として噛み合わせと口元をどう整えるのかを確認することです。
親知らずの抜歯と、小臼歯を抜いて前歯を後方へ移動する計画も同じではありません。親知らずを抜くだけで前歯の重なりが自動的に解消するわけではなく、奥歯を後方へ動かすための装置や固定源、顎の後方の骨の余地が必要です。「親知らずを抜けば健康な小臼歯を残せる」と一律には判断できません。
抜歯の判断に関する研究では、歯の重なり、上下の歯列の前後関係、前歯の突出度など複数の要素が治療方針と関連しており、一つの数値だけで決められないことが示されています[2]。つまり、「ガタガタが何ミリなら必ず抜歯」という単純な線引きではなく、治療後に歯が骨の中で無理なく並び、唇を閉じやすく、奥歯まで機能するかを予測する作業が必要です。
抜歯の必要性を判断する6つの検査・視点
1.歯を並べるために、どれだけスペースが不足しているか
歯型や口腔内スキャンを用いて、歯列に利用できる長さと、すべての歯の幅の合計を比較します。これがスペース分析です。ただし、計算上の不足量は出発点にすぎません。捻れている歯を正しい向きへ直すと必要な場所が増えることがあり、噛み合わせを改善するための前後移動にもスペースを使います。反対に、歯の形や傾きによっては、見た目ほど大きな不足ではない場合もあります。
2.前歯の傾きと、歯を支える骨の範囲
頭部X線規格写真などで、前歯が顎の骨に対してどの方向へ傾いているかを調べます。すでに前歯が強く前へ傾いている方に、非抜歯でさらに前方へ並べる計画を立てると、唇が閉じにくくなったり、歯根の周囲の骨が薄い部分へ歯を押し出したりする可能性があります。逆に、前歯が内側へ傾き、歯列に無理なく拡大できる余地がある場合は、非抜歯案を検討しやすくなります。
CTはすべての方に必要とは限りませんが、歯根と骨の位置、埋まっている歯、歯根吸収などを三次元的に確かめる必要がある場合に検討します。画像を増やすこと自体が目的ではなく、二次元の資料だけでは答えにくい疑問があるかを考えます。
3.横顔、唇の閉じやすさ、希望する口元
抜歯によって前歯を後方へ動かすと、口元にも変化が生じる可能性があります。しかし、「4本抜けば必ず口元が大きく下がる」「抜歯すると老けて見える」とは断定できません。唇の厚み、鼻と顎の形、前歯の初期位置、抜歯空間の使い方、成長や加齢などが影響するためです。抜歯治療と非抜歯治療後の顔貌を扱った系統的レビューでも、平均的な見た目だけで単純な優劣をつけることは難しく、治療前の唇の突出などを考慮すべきとされています[3]。
「歯の重なりだけを整えたい」「口元の突出感も改善したい」「横顔は今の印象をできるだけ保ちたい」では、スペースの使い方が異なります。写真やシミュレーションは説明を助けますが、軟組織の変化を寸分違わず予測するものではありません。望む変化と避けたい変化を、診断前から言葉にして伝えることが重要です。
4.上下の顎の骨格と奥歯の噛み合わせ
出っ歯に見える原因が上の前歯だけにあるとは限りません。下顎が小さい、上下の顎の位置に差がある、奥歯の噛み合わせが前後・左右にずれているなど、骨格や歯列全体の問題が関係することがあります。抜歯をして歯だけを動かす方法には限界があり、骨格差が大きい成人では、顎変形症に対する外科的矯正治療を含めて検討する場合もあります。
見える前歯だけを短期間で並べると、奥歯の噛み合わせや前歯の当たり方を改善できないことがあります。部分矯正が適するのは、治す範囲が限られ、奥歯の噛み合わせが安定している場合などです。全体矯正が必要な状態を部分矯正で済ませると、歯は整って見えても、噛むと一部だけが強く当たる、隙間が残るといった問題が生じる可能性があります。
5.歯周病、歯ぐき、歯根、被せ物などの条件
成人矯正では、歯並びだけでなく、歯周病による骨の減少、歯ぐきの薄さ、歯根の長さ、過去の外傷や根管治療、インプラントやブリッジの位置も確認します。インプラントは天然歯のようには移動しないため、矯正の固定源として使うのか、補綴をやり替えるのかを先に計画する必要があります。歯周病の炎症が残ったまま歯を動かすことも避け、必要な治療と清掃状態の改善を先行させます。
6.通院・装置管理と、本人が受け入れられる負担
理論上は複数の案が成り立っても、マウスピースを決められた時間装着できるか、装置周囲を清掃できるか、定期通院を続けられるかで現実的な選択は変わります。抜歯を避けるために遠心移動などを組み合わせると、治療の複雑さや協力度が増す場合があります。反対に、抜歯を選んでも、空間を閉じるための移動量が大きく、治療が短くなるとは限りません。生活条件まで含めて、実行できる計画を選びます。
歯を抜かずにスペースを作る方法と、その限界
IPR:歯と歯の間を少量ずつ整える
IPRは、歯と歯が接する部分のエナメル質を計画した範囲で少量ずつ整え、複数の歯から合計のスペースを得る方法です。歯の大きさの左右差を調整したり、前歯の小さな重なりを改善したりする際に用いられます。削る量を測定し、表面を滑らかに仕上げ、清掃とフッ化物利用を行うことが重要です。IPRの手技を検討した系統的レビューでは、方法によって削除量の精度や表面性状が異なり、管理された手順の必要性が示されています[4]。
IPRだけで得られる空間には限界があります。エナメル質の厚み、歯の形、虫歯の有無、歯と歯の接触関係によって、行える量は異なります。必要なスペースが大きいのに削除量を増やせばよいというものではなく、知覚過敏、歯面の粗さ、隣接面の形態変化、虫歯リスクへの配慮が必要です。
歯列の拡大:幅を整えて並ぶ場所を増やす
歯列が狭く、歯が内側へ傾いている場合などは、歯列の幅を適切な範囲へ整えることでスペースを得られることがあります。ただし成人では、子どもの顎の成長を利用する治療と同じではありません。多くは歯の傾きや位置を変える歯槽性の拡大であり、歯根を支える骨と歯ぐきの範囲を超えないことが重要です。
拡大量を大きくすればするほどよいわけではありません。治療前から歯ぐきが薄い、歯根が骨の外側に近い、歯周病で支持骨が減っている場合は、歯ぐき下がりや骨の減少に注意します。拡大によって得た幅が噛み合わせに合わなければ、治療後の安定性にも影響します。
奥歯の後方移動:後ろの余地と固定源を使う
奥歯を後方へ移動し、その前方にできた場所を利用する方法もあります。マウスピースやワイヤー、必要に応じて矯正用ミニインプラントなどを使うことがあります。顎の後方に歯を動かせる余地があるか、親知らずの位置、上下の奥歯の関係、装置への協力度を確認します。
ミニインプラントは矯正期間中の固定源として骨に一時的に設置する小さな器具で、失った歯を補うインプラントとは目的が異なります。脱落、周囲の炎症、痛み、歯根への接触などのリスクがあり、全員に必要なものではありません。奥歯を後ろへ動かす距離にも限界があるため、抜歯を避けるためだけに無理な移動を行わないことが大切です。
前歯を前へ出す・部分的に整える方法
前歯が内側へ傾いていて口元との調和を保てる場合は、傾きを起こすことでスペースを得られることがあります。しかし、すでに前歯が前へ傾いている方や、口が閉じにくい方では、さらに前へ出すことが治療目標と合わない場合があります。数本だけを動かす部分矯正も、奥歯の噛み合わせがよく、問題が限局しているときに検討する方法であり、全体のスペース不足や骨格差を解決するものではありません。
抜歯矯正と非抜歯矯正を同じ条件で比較する
「歯を残す非抜歯のほうが低侵襲」「抜歯のほうが確実」と、方法名だけで優劣を決めることはできません。非抜歯でもIPRやミニインプラントを用いることがあり、抜歯でも歯の移動量や固定の管理が必要です。自分の資料上で、治療後の前歯の位置、奥歯の噛み合わせ、歯周組織、口元、期間、協力度を比較してください。
| 治療の考え方 | 検討しやすい状態 | 主な利点 | 限界・主なリスク |
|---|---|---|---|
| 非抜歯の全体矯正 | スペース不足が比較的小さく、拡大・IPR・遠心移動などを骨と歯ぐきの範囲内で行える | 矯正目的の永久歯抜歯を避けられる。歯列や口元の現状を保ちやすい場合がある | 前歯の突出、歯ぐき下がり、奥歯の移動限界、装置管理の負担。無理な拡大では安定性を損なう可能性 |
| 小臼歯などを抜歯する全体矯正 | 重なりが大きい、前歯を後方へ動かしたい、上下の噛み合わせの前後差を調整したい | 大きなスペースを計画的に確保でき、前歯と奥歯の位置を調整しやすい場合がある | 健康な歯を失う。抜歯部の痛み・腫れ・出血、空間閉鎖に時間を要する、口元の変化、歯根吸収など |
| 部分矯正 | 問題が前歯などに限られ、奥歯の噛み合わせが安定し、全体を動かす必要が少ない | 動かす範囲が狭く、全体矯正より期間や費用を抑えられる場合がある | 全体の噛み合わせ、骨格差、大きなスペース不足には対応できない。適応外で行うと一部の歯に負担が集中する可能性 |
| 外科的矯正治療を含む計画 | 上下の顎の大きさ・位置の差が大きく、歯の移動だけでは機能的な改善が難しい | 歯だけでは補えない骨格的な問題へ対応できる可能性 | 手術・入院を伴い、腫れ、出血、感染、知覚の変化などのリスクがある。対応医療機関との連携が必要 |
抜歯すると口元は下がりすぎるのか
抜歯空間のすべてが前歯を後ろへ下げるために使われるとは限りません。奥歯を前へ動かす量、前歯の角度、上下の抜歯部位などで結果は変わります。治療前に前歯がどの位置にあり、唇をどの程度動かしたいのかを共有し、予定する前歯の移動方向と限界を聞きましょう。画像上の歯の位置は計画できますが、唇や頬の変化には個人差があり、完成時の顔貌を保証することはできません。
非抜歯なら後戻りしないのか
後戻りは抜歯の有無だけで決まりません。治療前の歯並び、歯を動かした位置、舌や唇の癖、歯周組織、成長や加齢、保定装置の使用などが関係します。抜歯でも非抜歯でも、治療後にはリテーナーを使い、歯並びと噛み合わせを確認する期間が必要です。保定方法を比較した最新のコクランレビューでは、装置ごとの研究はあるものの、どれか一つが常に優れると結論づけるにはエビデンスの確実性が低いとされています[5]。装置名より、指示された使用法と定期確認を続けることが大切です。
費用・治療期間・リスクを治療前に確認する
姫路駅前グランツ歯科の矯正治療費
以下は2026年9月24日に確認した姫路駅前グランツ歯科の自由診療料金で、公式サイトではすべて税込と案内されています。矯正治療費には検査費用、材料費、毎回の調整料、治療後のリテーナーが含まれます。実際に適する装置と総額は、歯並び、抜歯の有無、動かす範囲、必要な前処置によって異なるため、最新情報は料金表と診査後の見積もりでご確認ください。
| 治療・装置 | 公式掲載料金(税込) | 期間・通院の考え方 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 矯正相談 | 0円 | 希望や不安を伝え、検査・装置・費用の概要を確認する | 相談だけでは抜歯の最終判断ができないことがあり、精密検査後に計画が具体化する |
| マルチブラケット | 600,000~1,200,000円 | 歯の移動量と噛み合わせで期間・通院回数が変わる | 装置の違和感、痛み、口内炎、清掃困難、むし歯・歯肉炎、装置の脱離など |
| マウスピース矯正(全体・軽度/重度) | 800,000円/1,100,000円 | 公式案内では通常1~2週間ごとに交換し、1~3か月に1度来院。全体矯正の期間目安は1年半~2年だが、個人差がある | 装着時間と交換手順の自己管理が必要。予定どおり動かず、追加装置や計画変更が必要になることがある |
| マウスピース矯正Go(部分) | 500,000円 | 奥歯の噛み合わせがよく、第二小臼歯までを動かす適応。公式案内ではおおよそ1年以内 | 全体の噛み合わせや大きなスペース不足には対応できない。適応外では全体矯正が必要 |
| 部分矯正 | 100,000~400,000円 | 動かす範囲によって期間が変わる。公式FAQでは3~6か月程度が一つの目安 | 治せる範囲が限られ、後から全体治療へ変更する可能性がある |
| 矯正用ミニインプラント | 20,000円/1本 | 必要な移動が終わったら撤去する一時的な固定源 | 痛み、腫れ、周囲の炎症、脱落、歯根への接触など。全員に使用するものではない |
抜歯を選ぶと、必ず治療期間が長くなるわけではない
抜歯後の空間を閉じるには移動距離が必要ですが、非抜歯で奥歯を後方へ動かす場合も時間と協力度を要します。治療期間は、装置の種類だけでなく、移動量、骨の状態、装着時間、装置の破損、通院間隔、むし歯や歯周病の治療、歯の動きの個人差で変わります。成人の全体矯正では年単位になることがあり、当初の予定より延長する可能性も含めて説明を受けましょう。
姫路駅前グランツ歯科のマウスピース矯正の案内では、歯を動かす期間が終わった後、治療期間と同程度を一つの目安として保定装置を使用するとしています。保定は「治療後のおまけ」ではなく、動かした歯を支える骨や歯ぐきがなじむ間の大切な段階です。
抜歯・非抜歯に共通する主なリスク
- 歯を動かす際の痛み、噛みにくさ、装置による口内炎
- 清掃不良によるむし歯、白斑、歯肉炎、歯周病の悪化
- 歯ぐき下がり、歯根が短くなる歯根吸収、歯の神経の変化
- 装置の破損・脱離、マウスピースの紛失、予定どおり動かないことによる追加処置
- 顎関節や噛み合わせの違和感、治療中の一時的な隙間
- 治療期間の延長、計画の変更、保定後の後戻り
矯正による歯根吸収を扱った系統的レビューでは、歯根吸収は矯正治療に伴う重要な有害事象であり、力のかけ方や治療期間などとの関係が検討されています[6]。多くは画像で経過を確認しますが、もともと歯根が短い、過去に外傷がある、治療中に大きな変化を認める場合などは、移動方法の修正や一時中断が必要になることがあります。
抜歯を伴う場合は、抜歯部の痛み、腫れ、出血、感染、治癒の遅れなどが加わります。血液を固まりにくくする薬、骨粗しょう症の薬、糖尿病、喫煙歴、過去の抜歯でのトラブルがあれば、自己判断で薬を中止せず事前に伝えてください。非抜歯では、前歯や歯列を動かせる解剖学的な範囲を超えないことが特に重要です。方法ごとの危険性だけでなく、自分の場合に起こりやすい問題と、その際の対応を確認しましょう。
自分で確認できることと、歯科で判断すべき境界
鏡や写真だけで抜歯の要否は決められない
自宅では、歯の重なり、口を楽に閉じられるか、前歯で食べ物を噛み切れるか、奥歯の左右で噛みやすさが違うか、歯ぐき下がりや出血がないかを整理できます。しかし、歯根の位置、顎の骨格、歯を支える骨の厚み、奥歯を動かせる余地は鏡では分かりません。市販のマウスピースや自己流のゴムで歯を動かしたり、自分で歯の間を削ったりすることは、歯根・歯ぐき・噛み合わせを傷めるおそれがあるため避けてください。
相談前に用意すると、比較しやすくなること
- 一番改善したい点と、できれば変えたくない点をそれぞれ書き出す
- 過去の矯正、抜歯、外傷、歯周病、根管治療、顎関節の症状を伝える
- 服薬、全身疾患、妊娠の可能性、喫煙・加熱式たばこを含む使用状況を共有する
- 転居、妊娠・出産、仕事の繁忙期など、通院に影響する予定を伝える
- 他院の資料があれば、レントゲン、写真、歯型、治療計画、見積書を持参する
セカンドオピニオンを受ける場合は、「抜歯をしなくてよい医院」を探すことだけを目的にせず、同じ資料を使ったときに診断と目標がどう違うのかを比べます。抜歯案では、抜いた空間をどのように使うか。非抜歯案では、どの方法で何ミリ程度の場所を作り、前歯と歯ぐきにどのような影響を見込むか。計画どおりに進まない場合、どの時点で方針を見直すか。この三点を聞くと、説明の違いを整理しやすくなります。
治療中・抜歯後に早めの連絡が必要な症状
矯正装置を入れた直後の軽い痛みや違和感は珍しくありませんが、強い痛みが続く、特定の歯だけが急に強く痛む、装置が刺さる、歯ぐきが大きく腫れる、膿が出る、噛み合わせが急に変わった場合は、次の予約まで待たずに連絡してください。抜歯後に出血が止まらない、腫れが増え続ける、発熱、飲み込みにくさ、息苦しさがある場合も早めの受診が必要です。
よくある質問と、納得して治療を選ぶために
健康な歯を4本抜くのは、多すぎませんか?
本数だけでは判断できません。上下左右の小臼歯を抜く計画では、左右差を整えながら前歯と奥歯を動かす目的があります。一方、片側だけの問題、すでに欠損歯がある場合、虫歯や修復の状態などにより、本数や部位が変わることもあります。「4本が一般的だから」ではなく、それぞれの空間をどの歯の移動に使うのか、非抜歯案では何が限界になるのかを説明してもらいましょう。
マウスピース矯正なら抜歯しなくて済みますか?
装置の種類と抜歯の要否は別の問題です。マウスピース矯正でも、必要なスペースが大きい場合は抜歯を組み合わせることがあります。反対に、ワイヤー矯正でも非抜歯で進められる場合があります。重要なのは、装置の見た目ではなく、必要な歯の移動をその装置で予測可能な範囲に管理できるかです。症例によっては、途中でワイヤーや補助装置を併用することもあります。
一度非抜歯で始めて、無理なら途中で抜歯できますか?
治療中に反応を見て計画を変更することはありますが、最初から何も決めずに始める方法が望ましいとは限りません。前歯を一度大きく前へ動かした後に抜歯へ変更すると、移動距離と期間が増える可能性があります。治療前に、非抜歯で達成できる範囲、何を指標に再評価するか、抜歯へ切り替える条件と追加負担を共有しておくことが大切です。
抜歯矯正で頬がこけたり、顔が老けたりしますか?
抜歯だけを原因として、すべての方に同じ顔貌変化が起こるとはいえません。前歯の移動量、唇や頬の厚み、体重変化、加齢など多くの要素が関わります。口元をどこまで下げる計画なのか、前歯と奥歯をどう動かすのかを確認し、顔貌写真や頭部X線規格写真を用いた説明を受けてください。シミュレーションは参考になりますが、軟組織の完成形を保証するものではありません。
他院で抜歯と言われました。相談し直してもよいですか?
治療開始前で説明に納得できない場合は、同じ医院で再度説明を受けるほか、別の歯科医院で意見を聞く方法もあります[1]。診断資料があれば持参し、「抜歯か非抜歯か」という結論だけでなく、診断名、治療目標、前歯と奥歯の予定位置、代替案の限界を比べてください。すでに治療中の場合は、装置を外す・転院する前に、現在の進行状況、資料の引き継ぎ、費用精算、治療が中断する影響を主治医と確認します。
姫路で、抜歯と非抜歯を比較して成人矯正を相談したい方へ
姫路駅前グランツ歯科では、成人の矯正治療としてマルチブラケットとマウスピース矯正を案内し、歯並びだけでなく上下の噛み合わせも重視しています。マウスピース矯正の精密検査では、レントゲン、口腔内写真、iTeroによる歯型のスキャンを行い、むし歯や歯周病のリスクも確認しています。
抜歯を避けたいという希望も、口元まで改善したいという希望も、どちらも治療計画を考える大切な情報です。まず現在のスペース不足、前歯と歯根の位置、顎の骨格、歯周組織、奥歯の噛み合わせを確認し、抜歯案と非抜歯案で達成できること・難しいことを整理しましょう。方法を急いで選ぶより、診断根拠と計画変更の条件まで理解してから決めることが、長い矯正治療への納得につながります。
関連ページ
- 矯正治療:成人矯正で扱う代表的な噛み合わせと、マルチブラケット・マウスピース矯正の概要を確認できます。
- マウスピース矯正治療の流れ:相談、精密検査、シミュレーション、定期確認、保定までの流れを案内しています。
- マウスピース矯正の費用:全体矯正と部分矯正の適応、期間、費用に含まれる内容を確認できます。
- 料金表:マルチブラケット、マウスピース矯正、部分矯正、矯正用ミニインプラントの最新料金をご確認いただけます。
- 初診の方へ:予約、初診時の検査、説明の進め方を案内しています。
参考文献
- 公益社団法人 日本矯正歯科学会. 矯正歯科治療について [Internet]. 東京: 公益社団法人 日本矯正歯科学会; [cited 2026 Sep 24]. Available from: https://www.jos.gr.jp/about
- Konstantonis D, Anthopoulou C, Makou M. Extraction decision and identification of treatment predictors in Class I malocclusions. Prog Orthod. 2013;14:47. doi: 10.1186/2196-1042-14-47. PMID: 24326213.
- Iared W, Koga da Silva EM, Iared W, Macedo CR. Esthetic perception of changes in facial profile resulting from orthodontic treatment with extraction of premolars: A systematic review. J Am Dent Assoc. 2017;148(1):9-16. doi: 10.1016/j.adaj.2016.09.004. PMID: 27771001.
- Gómez-Aguirre JN, Argueta-Figueroa L, Castro-Gutiérrez MEM, Torres-Rosas R. Effects of interproximal enamel reduction techniques used for orthodontics: A systematic review. Orthod Craniofac Res. 2022;25(3):304-319. doi: 10.1111/ocr.12555. PMID: 34865310.
- Martin C, Littlewood SJ, Millett DT, Doubleday B, Bearn D, Worthington HV, et al. Retention procedures for stabilising tooth position after treatment with orthodontic braces. Cochrane Database Syst Rev. 2023;5(5):CD002283. doi: 10.1002/14651858.CD002283.pub5. PMID: 37219527.
- Weltman B, Vig KWL, Fields HW, Shanker S, Kaizar EE. Root resorption associated with orthodontic tooth movement: A systematic review. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2010;137(4):462-476; discussion 12A. doi: 10.1016/j.ajodo.2009.06.021. PMID: 20362905.
本記事は、成人の歯列矯正における抜歯・非抜歯の考え方について一般的な情報を提供するものです。抜歯の必要性、適する装置、予想される口元の変化、費用と期間は、歯並び、骨格、歯周組織、治療歴、希望によって異なります。個別の診断と治療方針については、歯科医師の診察と必要な検査を受けてください。
この記事の監修者
姫路駅前グランツ歯科 院長 粟谷 英信
2010年に大阪大学歯学部を卒業後、滋賀県立成人病センター歯科口腔外科などで研鑽を積み、2019年に姫路駅前グランツ歯科を開院。日本顎咬合学会認定医、臨床研修指導医、マウスピース矯正認定歯科医師。詳しい経歴・資格・所属学会は院長紹介をご覧ください。





